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データグリッドが開発する疑似不良生成技術により、 不良判定AIを作成するために必要な実在する不良データ量を8割削減することに成功

RELEASE

 株式会社データグリッド(本社:京都大学吉田キャンパス構内、代表取締役CEO:岡田 侑貴、以下「データグリッド」)と住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下「住友電工」)は、データグリッドが開発する疑似不良生成技術により、不良判定AIを作成するために必要な実在する不良データ量を8割削減することに成功しました。また、不良判定AIの開発期間を8か月短縮できることも明らかにし、疑似不良生成技術の高い有用性を確認しました。
 不良発生頻度が低い製造現場でも熟練作業員並みの高度な不良判定基準を持つAIを実現させるために、住友電工が持つ不良判定技術とデータグリッドが持つ疑似不良生成技術を組合せ、苦手克服学習技術(弱点トレーニング・ループ)を付与した独自の不良判定AIの共同開発を進めた成果であり、両社は引き続き人手で行われている外観検査工程を自動化するなど、製造現場の幅広い工程を自動化する取り組みの加速・拡大に取り組んでいきます。


  • 取組の主な成果

 住友電工で製造する2種の工業製品について、データグリッドが持つ疑似不良生成技術を用いて、実在する不良画像を学習することで不良画像の特徴を捉え、実在する不良画像そっくりの疑似不良画像の作成に成功しました。今回生成した疑似不良画像のほとんどが技術者の目で見ても実在する不良画像に見える質の高さを確保することができています。
 さらに、工業製品Aの疑似不良画像を使い、データグリッドが持つ疑似不良生成技術と苦手克服学習技術(弱点トレーニング・ループ)の不良判定AIの開発高速化に対する効果検証を行いました。その結果、データグリッドが持つ2つの技術を使うことで、実在する不良画像の必要量を約8割削減することが可能になり、それに伴ってデータを収集するために要する期間を1/5に減らすことが可能であることがわかりました。
 データグリッドの疑似不良生成技術は、不良プロパティ(形状・大きさ・位置などのパラメータ)を自由自在に操作できる点が特長であり、製造現場ではめったに起きない不良だけでなく、熟練技術者の暗黙知である不良に関する知見に基づいた新しい不良についても好きなだけ疑似不良画像を生成することができ、不良判定AIの開発高速化に大きく寄与することが期待されます。


  • 取組の背景
     データグリッドは、不良品が十分にない製造初期段階においても、外観検査工程を始めとする異常検査工程で使用可能な高精度な不良判定AIを構築したいという製造事業者様のニーズにお応えすべく、疑似的な不良データを生成する“疑似不良生成AI”を開発してきました。一方、住友電工では、IoT研究開発センターを中心に、製造現場でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向け、IoT/AI技術を活用した生産性向上や安全性向上等に取り組んでまいりました。その1つとして、熟練作業員が外観検査で行っているような、多様な不良判定を自動化する不良判定AIの開発を行っておりました。熟練作業員に匹敵する不良検知AIの開発には大量の実不良画像が必要になっていましたが、製造現場の不良発生頻度が低いため、データ収集に年単位の長時間を要するのが課題となっていました。そこで、データグリッドが得意とする生成技術と住友電工が得意とする不良判定技術を組み合わせ、ごく僅かな学習データから不良判定AIを開発することを目指し、共同で技術開発を進めてきました。


【用語説明】

  • 疑似不良生成技術とは
     GAN(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)と呼ばれるAIを活用し、実在する不良データを学習することで不良データの特徴を捉え、実在する不良データそっくりの疑似不良データを生成する技術です。
     この技術を使った疑似不良生成AIを用いて不良データを大量に生成することで、実在する不良データがごく僅かしかない状況でも不良の学習を可能にすべく、開発を進めています。

  • 苦手克服学習技術(弱点トレーニング・ループ)とは
     不良判定AIは、ごく僅かに実在する不良データを用いて学習を開始します。次にこの判定結果を分析し、不良判定AIが苦手とするパターンを予測します。そして、予測したパターンの不良データを疑似不良生成AIが作り出し、そのデータを使って不良判定AIが再学習します。このループを繰り返すことで、不良判定AIの苦手パターンを克服させ、ごく僅かな学習データから熟練作業員に匹敵する不良判定AIの開発が可能になります。この一連の苦手を克服するための学習ループを、弱点トレーニング・ループと呼んでいます。


 データグリッドと住友電工は、今後もAI技術を活用し、様々な工程の自動化や生産性の向上に取り組んでまいります。


【両社のコメント】

  • データグリッド 代表取締役CEO 岡田 侑貴:
     データグリッドは、生成AIを活用したトレーニングデータ生成は、リアル産業におけるAI活用の制約となっているデータ不足問題を解決する鍵になると考えています。そして、トレーニングデータ生成技術の一つとしての長年研究開発を重ねてきた疑似不良生成技術により、パートナーである住友電工の製造現場においても高い有効性を検証することができました。両社の力を合わせることで、製造プロセスのDXを推進し、本格展開に向けた取り組みをさらに加速させてまいります。


  • 住友電工 IoT研究開発センター長 岡田 洋侍:
     住友電工ではAI、IoTといった先進デジタル技術を活用し、モノづくり力の強化に取り組んでいます。AIによる不良判定も多くの実績を積み重ねてきました。それを更に加速かつ高度化するための取組みが、データグリッドとの共同開発です。今回、現場実データを用いた検証において非常に有用な結果を得たことは、実現に向けた重要な一歩と言えます。今後も両社で力を合わせ、本開発の実用化により、モノづくり力を強化するDXの推進を加速してまいります。


<ご参考>
2022年9月27日住友電気工業株式会社発表
疑似不良データの活用により不良判定AI開発期間を8割短縮
https://sumitomoelectric.com/jp/press/2022/09/prs116

2021年12月8日発表
住友電工社と製造現場での不良判定AIに関する共同技術開発を開始
https://datagrid.co.jp/news/1607/


■本件に関する報道関係者からの問い合わせ先

  • 株式会社データグリッド
    TEL:075-286-4470
    E-mail:info@datagrid.co.jp
  • 住友電気工業株式会社 広報部 広報グループ
    TEL:06-6220-4119(大阪)/03-6406-2701(東京)
    E-mail:web@info.sei.co.jp


■両社について

  • 株式会社データグリッド
    「すべてのデータ、に命を与える。」をミッションに掲げ、AIにより合成・生成された動画像や音声といったデジタルデータ(=シンセティックデータ)の産業活用を進めています。デジタル社会におけるデータの量と質を高め、あらゆるものにAIを深く、自然に浸透させた未来社会の実現を目指します。
    URL:https://datagrid.co.jp/


  • 住友電気工業株式会社
    「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」のもと、公正な事業活動を通じて、社会に貢献することを不変の基本方針としています。AIをはじめとする社会変革をもたらす⾰新技術へのチャレンジを通じて、地球環境に優しく、安全・安心かつ、快適で成長する社会の実現につながる価値を提供することにより、産業や人々の暮らしを支える存在であり続けたいと考えています。
    URL:https://sumitomoelectric.com/jp/

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